家に帰り、スマホを開くとたっくんから何件もメッセージが届いていた。
’ごめん。もう一度ちゃんと話したい’
’ちゃんと帰れたか?’
’家着いたら連絡して。お願い’
私は返事はしなかった。
スマホの電源を切り、そのままベッドにダイブする。
ぼーっとしながら考えていた。
最近様子がおかしかったのは、このことでたくさん悩んでいたのかもしれない。
言ってくれればよかったのに…全て自分一人で悩んで、決断してしまった。
私との未来のことなのに、何も相談してくれなかった。
私は…一体何だったのだろう。
翌日、腫れた目を誤魔化すように前髪をいつもより重たくさせた。
会社にかけていくのはどうか…と悩みつつ、伊達メガネをかけてみる。
こんなに印象って変わるものなのか…と、鏡に映る自分を見て少し引いた。
昨日ぶりにスマホの電源を入れてみると、着信が十数件。
全てたっくんからだった。
顔合わせづらいなと思いつつ、出社の準備を進める。
外を歩く人も、電車の中もいつもと何ら変わりないのに、何故だか世界が変わってしまったような気分だ。
足が鉛のように重いが、一歩一歩、歩みを進める。



