「ほらお父さんたら、いつまで拓海くん立たせているの?拓海くん、座って座って」
お母さんはたっくんの腕に自らの両腕を絡ませて椅子に座らせる。
「拓海くん、昔うちに遊びに来ていた時、唐揚げ気にいって食べてくれていたの覚えてる?だから私、気合入ってこーんなに作っちゃったわぁ」
大皿二つにてんこ盛りに盛り付けられた唐揚げ。
家族4人で食べるときでさえこんなサイズのお皿使っていなかったのに、異常なまでの気合の入りようだ。
「そういえば優斗は今日いないんだね?」
一応優斗にも今日帰ることは伝えていて、’行けたら行くわ’と、お前絶対来ないだろという決まり文句を返された。
優斗も社会人で、夏季休暇はあるようなことを言っていたけれど、もしかしたらタイミングが合わなかったのかもしれない。
「あー優斗?昨日帰ってきていて、今日は予定があるって午前に出ていったわ。もうじき帰ってくると思うんだけどね」
「あ、そうなんだ」
そんな会話を待っていましたと言わんばかりに、タイミングよく玄関のドアが開く音がした。
「ほら、帰って来たんじゃない?」
お母さんはエプロンで軽く手を拭きながら玄関に向かう。
’ただいま’の声が聞こえないあたりが、我が弟の証拠だ。
「こら、優斗。前から言っているでしょう?帰ったら’ただいま’。社会人にもなってみっともないわ」
「うっせーな。おぉ、姉貴」
「やっほ優斗」
優斗はたっくんの姿を捉えると、わかりやすいほど目を見開いた。
一歩一歩踏みしめるかのように、ゆっくりと確実に前進していき、やがてたっくんの前で歩みを止める。
お母さんはたっくんの腕に自らの両腕を絡ませて椅子に座らせる。
「拓海くん、昔うちに遊びに来ていた時、唐揚げ気にいって食べてくれていたの覚えてる?だから私、気合入ってこーんなに作っちゃったわぁ」
大皿二つにてんこ盛りに盛り付けられた唐揚げ。
家族4人で食べるときでさえこんなサイズのお皿使っていなかったのに、異常なまでの気合の入りようだ。
「そういえば優斗は今日いないんだね?」
一応優斗にも今日帰ることは伝えていて、’行けたら行くわ’と、お前絶対来ないだろという決まり文句を返された。
優斗も社会人で、夏季休暇はあるようなことを言っていたけれど、もしかしたらタイミングが合わなかったのかもしれない。
「あー優斗?昨日帰ってきていて、今日は予定があるって午前に出ていったわ。もうじき帰ってくると思うんだけどね」
「あ、そうなんだ」
そんな会話を待っていましたと言わんばかりに、タイミングよく玄関のドアが開く音がした。
「ほら、帰って来たんじゃない?」
お母さんはエプロンで軽く手を拭きながら玄関に向かう。
’ただいま’の声が聞こえないあたりが、我が弟の証拠だ。
「こら、優斗。前から言っているでしょう?帰ったら’ただいま’。社会人にもなってみっともないわ」
「うっせーな。おぉ、姉貴」
「やっほ優斗」
優斗はたっくんの姿を捉えると、わかりやすいほど目を見開いた。
一歩一歩踏みしめるかのように、ゆっくりと確実に前進していき、やがてたっくんの前で歩みを止める。



