上司は優しい幼なじみ

「お…お疲れ様です」

「お疲れ。もう仕事じゃないし、普通でいいよ」

社内で見た姿と少し違うのは、スーツのジャケットを脱いでいるところ。
シャツだけだとガタイの良さが際立ち、不意に胸が高鳴る。

10分前に来てみたけど、それよりも早くたっくんは到着していた。
一体いつ着いたのだろうか。

たっくんの後ろをついていき、奥のテーブル席に腰をかける。
あたりを見回してみると、私と同年代か少し上のお客が上品に食事を進めていた。
場違いではないか、と少し身なりを整えてみる。

「緊張する?」

そんな姿を見たたっくんが微笑みながらそう問いかける。

「うん、少し…こういうところ初めてだから」

「そっか。でもそんなかしこまったようなところでもないから、リラックスしてよ」

たっくんはメニューを私の向きに広げた。