上司は優しい幼なじみ


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「は~!あっという間に今年も夏がやって来たのか~!」

新作リリースも終わりひと段落ついた商品企画部。
山本さんと真由美ちゃんの三人でランチに来ていた。

最近はよく三人で行動を共にすることが多い。
その様子を見た半田さんは以前、’面白い組み合わせ’と呟きその真意を問いただしたところ、’元カノ、今カノ、好意を寄せていた女性’とだけテンポよく、区切りよくそう言った。

確かによく考えてみればそうだ。
傍から見たらドロ沼のような関係性だろう。

でも、山本さんも真由美ちゃんも本当に根っからいい人だから、そういった突っかかりは全くなかった。

真由美ちゃんも晴れて独り立ちして業務に励んでおり、部長からも一目置かれた存在となっている。

私は私で既存品のリニューアルという仕事をひとまず終え、次回の新商品のプレゼンの打診も受けており、’次こそは’と意気込んでいるところだ。

「陽菜ちゃんは、夏休み実家に帰るんだったよね?」

「うん、一日だけだけどね」

「もしかして、係長も一緒に?」

意地悪な顔で問う真由美ちゃん。照れながらこくりと頷く。

「そっかー。岡田さんも結婚かー。私を差し置いて…結婚かぁ」

頬杖をつき、天井を見上げながら水を飲む山本さん。
慌ててその言葉を否定した。