上司は優しい幼なじみ


「あ、そうそう。私のお母さんがね?たっくんに会いたがっていたの。夏休みちょっとだけ実家に帰ろうと思ってるんだけど、もし予定空いてたらたっくんも一緒にどうかな~って…」

「まじ?行く行く。優斗も元気か?」

優斗は私の弟。
一緒によく遊んでくれていたけれど、小さかったから覚えているかな…?

「優斗も立派に社会人やってるよ。家出てるから、実家にはいないんだけどね」

「そうか…陽菜も十分大人になったと思ったけど、優斗も社会人になったのか」

「そんなこと言ったら私の両親だって、たっくんに対して思っていると思うよ?あのたっくんがバリバリのサラリーマンで、係長だなんて」

食事を終え、お母さんに連絡し、私たちの日程を合わせた。
その時に’実は付き合っている’ってメッセージを送ってみたらすぐに電話がかかってきて、電話の向こうからキーンと高い声が響き、たっくんに替われとうるさいから、申し訳なくなりながらもスマホを渡し、その様子を見守る。

お母さんがどんな表情をしているのか容易に想像ついた。

そんなわけで、夏休みは一日、実家に帰省という予定ができた。