'9時くらいに迎えに行くから、準備しておいて’
昨日の夜にたっくんから届いたメッセージを見返す。
今日は土曜日。カーテンを開けると雲一つない快晴で食べ歩き日和だ。
真由美ちゃんから全てを聞き、疑惑も晴れ、安心しきったせいか昨夜はぐっすり眠ることができた。
スキンケアもいつもより念入りにし、デートの為にととっておいた服をベッドの上に上下揃える。
メイクはいつもよりはっきりと、髪は丁寧に半分から下を外巻きにした。
---ピロンッ
メッセージ音が鳴り、スマホを開いた。
’着いた。下で待ってる’
高鳴る胸を落ち着かせるように、水をコップ一杯飲み干す。
下まで降りると、見慣れた車が一台停まっている。
「おはよう、たっくん」
「おはよう」
ダークネイビーのシャツの袖を七分くらいに折り、高級そうな腕時計が顔を出している。
シャツの中にはシンプルなブラックのUネックシャツ。
鎖骨辺りできらりと光る小ぶりなネックレスが上品さを醸し出している。
その着こなしにドキッとしたのは言うまでもない。
「陽菜、いつもと印象違うね」
助手席に座る私を優しいまなざしで見つめる。
気合入れてきたのは確かだが、改めてそう言われると少し恥ずかしくなる。