上司は優しい幼なじみ


翌日。仕事を終えた私はそのまま帰ろうとしたが、真由美ちゃんに引き留められる。
気まずそうな表情に、私も態度がよそよそしくなっていたかもしれない。

「時間あればでいいんだけど…一緒にご飯食べて帰らない?」

お昼は何度も共にしたことはあるけれど、仕事終わりにゆっくり話すことは初めてかもしれない。

「うん、大丈夫」

駅の反対口の定食屋に入った。
ここも真由美ちゃんの行きつけらしく、おすすめのメニューを教えてくれた。
二人で同じものを頼み、料理を待つ。

「ごめんね急に。時間大丈夫だった?」

「予定なかったから全然大丈夫。いつもと様子違うけど…どうかした?」

私の問いに、真由美ちゃんは目線をテーブルに落とした後、水を少し飲んだ。

「陽菜ちゃんにどうしても話さないといけないことがあって…」

すると突然頭を下げた。
何事かと思い椅子から腰を上げる。

「え、真由美ちゃん?どうしたの?」

彼女はその態勢のまま言葉を続けた。

「ごめんなさい。私、知らなくて…陽菜ちゃんと大川係長が付き合っていること」

「え…」

私はゆっくりと腰を落とし、椅子に座りなおした。
真由美ちゃんに顔を上げるように促す。