上司は優しい幼なじみ

「岡田さんの大川に対する態度も何て言うか…必要以上に関わりを避けているような感じがしたから、大丈夫かな~って思って。まぁ業務中にこんな話するのもあれなんだけどさ、気になって」

心配そうな表情を浮かべる。
そんなに気にしてくれていたんだ…

半田さんの優しさが心に沁みた。

「半田ー。半田、ちょっといいか?」

フロアから出てきたたっくんが半田さんに声を掛ける。
半田さんは慌てたように姿勢を整え、「お、おう」と私の前から離れた。

たっくんの視線が私に移り、怪訝そうな表情を見せる。

だけど何も言われず、そのまま半田さんを連れてフロアに戻っていった。




定時のチャイムが鳴り、ぞろぞろと人が出ていく。
たっくんの様子を伺い、恐る恐る声を掛けた。

「あ、あのー…」

デスクの上を片付けながら私を一瞥し、「先、行ってて」と囁くくらいの小声でそう言った。

荷物を持ち、オフィスを後にする。

このバーに来るのは、三人で来た時以来だ。
一人で来るにはまだハードルが高くて、でもここで一人飲みしたら、大人の仲間入りかもと胸を躍らせることもある。

---カランッ

「いらっしゃい~。お好きなところどうぞ」

あの時と同じ人だ。
前は確か、このあたりに座ったっけ。

カウンターの真ん中の席に腰を下ろす。