上司は優しい幼なじみ


’行きたいところ決めておいて’

週末デートが決まり、たっくんから来たメッセージ。
スマホで調べたり、調子に乗ってこの前本屋で関東のガイドブックを何冊か買ったりして、それがテーブルに置いてある。
付箋なんかつけちゃったりして、浮かれっぱなし。

「…バカみたい」

ベッドから降りて、ガイドブックを小さな本棚に無理やり突っ込んだ。
端が折れたけど気にせず、力任せに押し込む。


---ピロンッ

メッセージ音が部屋に響いた。

’行きたいところ、決まったか?’

たっくんからだった。
そのメッセージに返すことなく、スマホをベッドに投げる。

今、何しているの?
真由美ちゃんと一緒なの?
どうして二人きりなの?

真由美ちゃんがたっくんに好意があることは知っている。
でも、たっくんは…ううん、そんなはずはない。
前に真由美ちゃんから二人で飲みに誘われた時も、断ったって言っていた。
今回は、並々ならぬ事情があったのかもしれない。

だけど…それでも…
あんなの、見たくなかった。


結局その日はあまり眠れなかった。