*
気のせいだろうか。いや、そんなことはない。
彼女は行動力がある人。私が背中を押したから、前よりも大胆に動いているのだ。
たっくんに書類にハンコを貰おうと席を立つと、真由美ちゃんに先を越され、長々と二人で話している。
真由美ちゃんが彼を自分のデスクに招き、二人してPC画面をのぞき込む。
以前よりも服装が派手になったように気がした。
胸元がぎりぎりまで開かれたカットソー。
スカートもフレアが多かったが、最近は膝上のタイトを履いているイメージがある。
基本的にうちは取引先に行く以外はそこまで服装に縛りはない。
その中でも最近の真由美ちゃんは結構目立つ服装をしている方だ。
二人の姿を見たくなくても目に入ってしまう位置に座っているため、チラチラと視線がそちらに移ってしまう。
いけないいけない。気にしない。私は私の仕事をするだけ。
意識しないと向こうを見てしまいそうで、これでもかというくらいに自分の画面を見入った。
「岡田さん、そんな近づいて大丈夫?私みたいに目悪くなるよ?」
「目悪くなって山本さんみたいに美人になれるのなら、喜んで目悪くなりますよ」
「あら、面白い冗談言えるようになったのね!」
「山本さんが美人っていうことだけは事実なので」
うー、それでもやっぱり気になる。
近い、二人の距離が近すぎる。



