「陽菜ちゃん、今週分の分析上がって来たから、確認お願いできる?」

私のところまでやって来た真由美ちゃんから資料を受け取る。
綺麗にまとめられていて、相変わらず見やすいデータだった。

相変わらず彼女の働きぶりには圧倒されることばかりだけれど、以前のように劣等感を感じることは少なくなった。
あの時たっくんが、’気にしなくていい’と言ってくれてから、自分でも驚くほどに心が軽くなった。

「うん、ありがとう真由美ちゃん」

「あ、そうだそうだ。ちょっと見てほしいのがあるんだけど来てくれる?」

一緒に真由美ちゃんのデスクまで足を進める。
PC画面には私が前に担当していた業務のシステムが立ち上がっていた。

「このデータってここに打ち込むのでいいんだっけ?」

「そうそう。AからC部門まで、大分類、小分類ごとに分けて入力するの」

「そうだった!ありがとう陽菜ちゃん」

私たちのやり取りを見ていた半田さんが横から覗いてくる。

「二人ってなんだか姉妹みたいだね」

「「え?」」

真由美ちゃんと声が被った。
顔を見合わせ、二人して思わず笑ってしまう。

「なんか雰囲気似てるから、見ていて微笑ましいわ」

それだけ言ってニコニコしながら自分の席に戻っていった。