上司は優しい幼なじみ

忙しくて会話する余裕がなかったわけでもないが、かと言ってたっくんに確認しないといけない業務があったわけでもない。

連絡もしていないし、来ていない。

寂しい気持ちもあるが、たっくんと真由美ちゃんの距離感を見てしまうと、どうしても気にしてしまい何て声をかければいいのかもわからない。

この席はお店に入った順にだいたい奥から埋まっていく。

別に意識はしていなかったけれど、たっくんと親しげに話す真由美ちゃんを見て、下心があるのではないかと意地悪なことを考えてしまう。
そういえば、真由美ちゃんが二人で飲みに誘っていたけれど、あれどうなったんだろう…

二人の様子を遠目で見ながらカシスウーロンを一口飲んだ。


私は磯部さんたちともそれなりに盛り上がれた。
仕事では結構厳しくされるけれど、話してみると陽気で楽しい人だった。

「え、磯部さんってお子さんいらっしゃるんですか！？」

「そうよ～、何？そんなに意外？」

プライベートなことも知れるから、関わりが少ない人と時間を共有するのも悪くない、そう思った。