*
歓迎会は、駅前のビル内にある大衆居酒屋で行われた。
仕事を終わらせてから来る人もいる為、全員揃った状態ではなかったが、乾杯の音頭がとられる。
「えー、今日は岡田さんと宮田さんの歓迎会っていうことで。岡田さんは時期遅くなっちゃってごめんね。大事な仲間が二人、加わりました!無礼講の許しは日高部長からもらっていますので、思い切り楽しみましょう!それじゃあ、乾杯!!」
半田さんの一声で一斉にグラスが当たる音が聞こえた。
私も周りの人たちと乾杯を交わす。
プロジェクトチームの磯部さんと、まだあまり話したことのない男性社員の吉田さん。
吉田さんも中途らしく、30代の転職でこの会社に入ったんだとか。
磯部さんには怒られることも多く、こうして業務外の時間を共有するのは初めてで、少し緊張する。
「岡田さん可愛いの頼んでるわね」
磯部さんの視線が私の手元に移る。
さすがに大勢の前で醜態を晒すわけにもいかず、しっかりと自分で予防線を張らねばと、乾杯のアルコールに相応しいとは言えないが、カシスウーロンを頼んだ。
「最近、ちょっとセーブしていまして…」
飲みすぎて記憶を飛ばすなんて、絶対に言えない。
たっくんは、半田さんや真由美ちゃんの近くに座っていた。
たっくんの隣にいたいという気持ちもありつつ、彼に少し怒られて以来、避けるような毎日を送っていたから、丁度いい距離間で今はほっとしている。



