上司は優しい幼なじみ

「もしかして、準備しようとしてくれたの?」

真由美ちゃんも腰をかがませ、私の顔をのぞき込んでくる。

「う、うん…でも準備どころか逆に散らかしちゃって」

たっくんも呆れちゃったかな。
昨日の真由美ちゃんの働きぶりはたっくんもよく見ていたはずだ。

’同い年なのにこんなにも違うのか’って、思われないかな。

「私準備しちゃうね!」

自分でできたのなんて、フィルターのセットだけ。
真由美ちゃんは慣れた手つきで粉を入れ、水を入れマシンを操作する。

「ありがとう宮田さん、助かるよ」

---ズキッ

「いえいえ、お任せください!」

掃除する手を速めた。
早くここから逃げ出したい。

最後に水拭きをして、ペーパーナプキンを捨てて二人に向き直った。

「…すみません、ご迷惑おかけしました」

頭を下げ、給湯室から駆け出す。

「え、陽菜ちゃん?」

二人をその場に残して、自席に座った。