上司は優しい幼なじみ

やがて二人のお酒も用意され、三人でクラスを合わせた。

「んじゃ、お疲れ様ー」

一口飲むと、フルーティーな香りが口いっぱいに広がる。
大衆居酒屋では味わえないようなお酒だ。

「ん…おいしい」

「だろ?今日は大人が二人ちゃんとついてるから、セーブできるな?」

半田さんはまた私の頭に手を置く。

ちょいちょいちょい!たっくんの前で何を!!

慌てて両手を頭上に上げ半田さんの手を下す。

「からかわないでくださいよ~それに、私だって大人です!」

「はははっ悪い悪い!」

恐る恐る右隣に目をやると、静かにグラスに口をつけていた。
見られて…なかった?

ふぅと胸を撫でおろす。

「そういえば大川、岡田さんから聞いたよ。二人付き合ってるんだってな」

「あぁ。だから半田、ベタベタ触んな」

座った状態でぐっと私の腰を引き寄せた。
身体が傾き、たっくんと密着する。

やっぱり、見られていた!?

かぁっと顔が赤くなるのが分かった。

「おー、やるねー大川」

半田さんはなんだか楽しそう。
でも、わかる。同僚でカップルが誕生すると、からかいたくなる気持ち。

社内恋愛なんて初めてだから、される側は反応に困るけれど…