上司は優しい幼なじみ

「え、何で笑った?」

「あ、いえ、すみません…スマホ一つでそんなに喜ぶ人あまり見ないなーと思って」

半田さんとこうして二人きりで話すのも、あの居酒屋以来だ。
そういえば、まだ半田さんには付き合ったこと言っていなかったっけ。

「あの、半田さん」

「ん?」

スマホをカバンにしまいながらこちらに近づいてくる。

色々相談に乗ってもらえたし、きちんとした形で報告したい。
そう思った私は椅子から立ち上がり、背筋を伸ばした。

「私、たっくんと…係長と付き合うことになりました」

すると半田さんは少し驚いたような表情を見せたが、すぐに笑顔になった。

「そっか、よかったじゃん!俺、岡田さんだったらすぐ気づくかもって思ったけど、言われるまでわかんなかったわ」

やはり、私は顔と態度に出やすいと思われているようだ。
山本さんには怪しまれたけれど、それ以外誰かに何かを聞かれたわけではないから、私もなかなか頑張っているほうなのかも。

「半田さんにはたくさんアドバイスもらえて…そのおかげで今があると思っています。本当に、ありがとうございます」

改めて頭を下げて感謝の気持ちを伝えると、「大げさな」と笑いだす。