上司は優しい幼なじみ

「はーい、OK!映像確認しまーす」

ふぅ、終わった…

セットから出て靴を履きなおし、たっくんの隣に並ぶ。

「どう…でした?」

腕を組んだ状態で私を見下ろすと、にこっと微笑んだ。
その表情に、業務中にも関わらず顔が顔を赤らめる。

「よかったよ。とても自然だった。やっぱり君を選んで正解だったよ」

「…ありがとうございます!」

これが世の中に発信されるのかと思うと、不思議な気持ちだ。
いち消費者としてフリースタイルのSNSをフォローしていたから、そこにこの動画が流れて多くの人の目に留まるなんて…
本当にフリースタイルの人間になったんだ、私。


撮影された動画のチェックが入り、無事終了した。
たっくんと帰ろうとすると、広報部の宮田さんに声をかけられた。

「岡田さん岡田さん!お疲れさまでした!また近々お会いするかと思うので、その際はよろしくお願いします」

「…?は、はい!こちらこそ」

広報部と打ち合わせでもあるのかな、と思いながら、頭を下げる。
彼女の目線は隣に移された。
しばらくたっくんを見つめ、口を開く。

「…大川さんも、今回はありがとうございました。話を進めてくださった半田さんにもよろしくお伝えください」

「えぇ、こちらこそ。ありがとうございます。岡田さん、行こうか」

「はいっ」

先を行く彼の後を小走りで追った。