「岡田さん、大川係長と何かあった?」

山本さん、今日は眼鏡をかけている。
いつもはコンタクトレンズらしいが、今朝「寝坊しちゃった」と舌をぺろっと出して席に着くその仕草に、女の私でもドキッとした。

「え、どうしてですか?」

「なんか、物凄く意識しているように見えたから…あ、そうだ!久々に今日お昼一緒に行かない?」

山本さんとは最近、新商品のプレゼン準備やプロジェクト関係の業務に追われていて、あまりお昼を一緒に過ごしていなかった。
二人でじっくり話すのが久々で緊張しながらも、「お願いします」と答える。





今日のラーメンは味噌。食べるのは初めてではないが、こってり濃厚味噌スープが麺に絡み、社食クオリティとは思えない逸品。

「岡田さん、本当にラーメン好きね」

そう言う山本さんは日替わり定食。
サラダを小さい口に上品に運んでいる。

「そうそう、そういえば岡田さんって、大川係長と幼馴染なんだって?」

「…へ?」

麺を掴む箸の動きが止まる。

「この前、大川係長と色々話す機会あって、その時に教えてもらったの。岡田さん、なんかわかりやすく大川係長のこと意識していたから、何か進展あったのかなぁって思って」

いたずらっぽく笑う彼女は、普段とても大人っぽいがその瞬間だけ無邪気な子供のような表情を見せた。