カーテンから零れる日差しで目が覚めた。

瞼をゆっくり開くと、ここは私の部屋。

隣に気配を感じ、視線を移す。


「…おはよう、陽菜」

右手で頭を押さえ、肘をついて上半身を起こした状態のたっくん。
布団の中を見ると、愛し合った状態のままの姿。

そっか…私昨日、たっくんと…

急に恥ずかしくなり、布団を頭までかぶった。

「お、おはよう」

「何で顔隠す?」

がばっと布団が剥がされた。
さすがに朝からこの姿を見られるのは溜まったものではなく、少し怒ってしまう。

「ちょっ!返して!見ないで!」

たっくんて…もしかして意地悪?
意味の込めた疑惑のまなざしを向けると、たっくんは笑いながら布団を返してくれた。

「ははっそんな怒るなって。ていうか、今度は俺が陽菜の部屋で一夜明かしちゃったな」

今日は土曜日。会社は休みだから急いで準備する必要はない。
かといってうちに男性用の着替えがあるわけでもなく、とりあえずシャワーを勧めようと思った。

口を開きかけたところで、昨日聞けなかったある疑問をぶつけた。


「…私、てっきりたっくんは山本さんがまだ好きなんだと思ってた」

「俺が?どうして?」

「だ、だって…二人は嫌いになったり喧嘩して別れたわけじゃないんでしょ?それに、この前山本さんが倒れた時、’美子’って呼んでた…」