上司は優しい幼なじみ

しかもなんか…不機嫌そう?
こんな表情、今まで見たことない。

状況が理解できずにいると、たっくんは口を開いた。

「昨日、半田と飲んでたろ?」

「え?あ、うん…」

「で、物凄く酔っ払ったろ?」

「はい…」

まるで怒られているかのようで、思わずベッドの上で正座をする。
するとたっくんは目を泳がせ、後ろを向いた。

「とにかくその恰好、服着るか布団にもぐるかどっちかして」

そう言われ、自分が恥ずかしい格好をしていることを思い出す。
慌てて布団をかぶり、顔だけ出した。

「あ、あの…これは一体…」

するとたっくんは様子を探るようにゆっくり振り返り、私の状況を確認したうえで再びしっかりと向き直った。

「本当に何も覚えてないの?」

「はい…」

飲みすぎたことは覚えている。
だけど、そのあと自分が何かやらかしたとかは一切記憶にない。
というか、夢と現実の境目がわからない状態だ。

「半田から電話もらって、俺が迎えに行ったの。まぁ陽菜は俺をずっと半田だと思ってたみたいだけど…で、さすがにこの状態で一人暮らしの君の部屋に連れていくのもあれだったから、俺の部屋に連れて帰ったわけ」

その言葉に開いた口がふさがらなかった。
と言うことは、私がずっと半田さんだと思って行った言動のあれこれの相手は、たっくんだったってこと!?