上司は優しい幼なじみ

そこからの記憶はあまりなかった。
覚えているのは、どこかのタイミングで、唇に温かい感触があったことくらい。
それが心地よくて、いけないこととわかっていながらもそれを受け入れている自分がいた。

あぁ、半田さんとキスしちゃった。
半田さんとも顔合わせづらい…

半田さん…半田さん…


「…っ!!??」

意識が戻り、ガバっと起き上がる。

夢…か?

私がいるのはベッドの上。でも、ただのベッドではない。
いや、ベッドなのはベッドなのだが…私のベッドではない。

じゃあここは?

辺りを見回すと、置かれたインテリアにも何も見覚えがなかった。

まさか、半田さんと一夜を共にした!?と思い慌てて自分の状態を確認する。
その姿に愕然とした。

下着こそは身に着けているものの、ストッキングもスカートも履いていない。
上はキャミソールのみ。

これって…どんな状況?


しばらく呆然としていると、部屋のドアが開いた。
入ってきた人物を見て私は飛び上がった。

「たたたたたたたっくん!!??」

そこには、シャツのボタンを締めているたっくんの姿。
髪はいつも通り綺麗にセットされているが、目の下には少しクマがあった。