上司は優しい幼なじみ

「あ、ありがとうございました！！」

今まで自分の中でも最上級に威勢のいい御礼の仕方だったと思う。
こんな貴重な機会を経験出来て、本当に良かった。

ほっとしながらモニター横に並べられた椅子に座った。
隣で順番を待っていた山本さんが小声で「凄いじゃん」と笑顔で言う。

山本さんは立ち上がり、モニターに自分のPCを繋げた。

「それでは、次は私、山本 美子のプレゼンを始めます」

彼女の声の抑揚、姿勢、全てが目を引くものだった。
慣れているとはいえ、もちろん私なんかと比にならないくらい、その姿に圧倒される。

プレゼン内容も素晴らしい。
照明付きの加湿器を提案していた。

「誰でもベット脇に間接照明を置きたいと憧れるものです。こちらの商品はそんな憧れを叶えるだけではなく、寝ながら加湿もできます」

…確かに、フリースタイルには今までそういった商品はなかった気がする。
照明器具はあるし、加湿器もあるけれど、それらが一体化となったものは存在していなかった。

熱弁する山本さんの姿をぼーっと眺めつつ、それを聞く周りの反応を見てみると、皆興味津々に資料に見入っていた。
たっくんも、深く頷きながら目を通していた。

プレゼン後の質問にも、1聞かれた10返すといった具合に、説得力があった。
これが、たっくんが惚れた女性…