上司は優しい幼なじみ


*

プレゼン当日。私は山本さんと一緒に会議室の準備をしていた。
各席に作り直したプレゼン資料を置いていく。

「いやーそれにしても、あの大川係長にまたチャンスもらえるなんて、岡田さん凄いじゃん!」

「え、そうなんですか?」

もしかして、幼馴染に免じて甘く見てくれたのかな、なんて。
あのたっくんのことだからそれはありえないだろうけれど。

「そうだよー!あの人鬼厳しいんだから!」

「何度ダメだしされたことか」と、楽しそうに話していた。
たっくんからチャンスをもらえるのは、本当に凄いことなのかもしれない。そう思った。

だって、元カノの山本さんでさえそんなこと言っているのだから。



定刻が近づき、ぞろぞろと会議室に人が集まってきた。
あの時と同じメンバーが同じ席に座っている。

最初に私、次に山本さんという順番でプレゼンが進んでいく。

「それでは、始めさせていただきます」

トップバッターの私は、重い口をゆっくりと開いた。