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誰もいないオフィス。
私はひとり、仕上がったプレゼン資料の最終チェックをしていた。
最近残業続きでちゃんとした晩御飯も食べていない。
というより、食欲があまりない。
昔から何かに集中すると他の欲を忘れるくらい没頭する癖があった。
学生時代はよく両親からも心配されていたものだ。
プレゼンを明日に控える私は不思議とかなり落ち着いている。
もちろん、リベンジということもあるけれど、仕事に集中できている最近の自分に少し自信が持てたのかもしれない。
マウスをカチカチといじりながらパワーポイントのページをめくっていく。
すると、デスクにそっとコーヒーが置かれた。
顔を上げ、その人物を認識した途端思わず立ち上がる。
「かっ、係長!!まだいらっしゃったんですか!?」
たっくん含め、全員帰っていたと思っていた。
彼と業務外のことで会話するのはかなり久々で、少々戸惑ってしまう。
「ごめんごめん、驚かせた?」
いつもはきっちり締められているネクタイが少し緩んでいる。
会社とはいえ、オフに近い状態だ。