「係長。先日EC事業部との打ち合わせの後に再度固めたリストです。ご確認お願いいたします」
前よりも、職場でのたっくんの接し方も変わったと思う。
相手は上司だと割り切ることができている。
背筋をピンと伸ばし、両手で資料を差し出した。
たっくんは押印作業をしているようで、私が声をかけたことで一度印鑑がケースに戻された。
印鑑ケースをちらりと見たが、それはそれはとても重厚感があって。
会社から支給されてされているのか、自前なのかはわからないけれど、あぁ偉い人なんだなと改めて感じた。
「ありがとう」
いつものように、口角を上げて優しい目で私を見る。
ドキッとしないなんて正直できないけれど、それを顔や態度に出すことはない。
そう努力を続けたことによって今のスタイルが完成された。
きっとたっくんも、職場ではそういう姿であってほしいと思っているはずだ。
彼に認めてもらうには、パフォーマンスはもちろんだけれど、職場での態度も大切だと気付いたのだ。