「これ、俺から言うことじゃないんだけどさ。実はもう一度、プレゼンのやり直しの機会を与えるって話になっているみたいだよ」

「え…?」

想定外の展開だった。
だって、完全にぼろ負けしたと思っていたから。

「イメージが抽象的で資料も説明も拙い部分はあったけど、方向性というか、考え方の軸はしっかりしていたって。だからもう少し視点を変えて、肉付けしてみたらとてもいい企画になるはずだって、大川が言っていたよ。それを日高部長に打診していたらしいから、また近いうち声かかると思うんだ」

うそ…たっくんがそんなことを?

私なんか山本さんみたいに彼と対峙することなんて一生できないと思っていた。
もちろん、バチバチと意見を交わすことは絶対に無理だけど、あのプレゼンの後にそんな話になっていたなんて、想像もしていなかった。