3学期の始業式から、美佐子は登校してきた。

私が教室に入ると、千恵と美佐子が 話していた。
 

「美佐子。」

私が駆け寄ると、美佐子は 少し照れた笑顔を見せ
 
「色々、心配かけました。」

と言って 神妙に 頭を下げた。
 


「本当だよ。すごく 心配したんだから。」

私は千恵と 頷き合って言う。
 
「だよね。美佐子 これからは 真面目になってよ。」

千恵がしみじみと言う。
 
「まあ、ほどほどにやるよ。」

と、美佐子は よくわからない返事をした。
 



次々と 登校してくる仲間達。

同じような言葉を 繰り返しているうちに 始業式の時間になる。


私達は ぞろぞろと体 体育館に向かった。
 

体育館の入口で、生徒を チェックしている藤田。
 
「先生、明けましておめでとう。」

私は 美佐子と一緒に、藤田に声をかけた。

藤田は 私と目が合うと、何か言いたそうな顔をした。
 


「何か?」

私が立ち止まると
 
「いや。早く行きなさい。」

と藤田は言い、私も そのまま前に進む。
 


亮太と 付き合い始めてから、藤田に 興味をなくしていたけれど。


久しぶりに会うと、私は 少しドキドキした。
 


藤田は、どんなキスをするのだろう。

どんな風に、女性を抱くのだろう。


亮太とキスをしたことで、私の 男性を見る目は 変わっていた。



女の子は 男性を知ると変わるって言うけれど。


本当かもしれないと、私は思っていた。