亮太と私は、どんどん 恋人らしくなっていく。

亮太は いつも、優しく私を見つめる。

私も 意地を張らずに 素直に亮太に甘える。
 


キスをしたことで、一歩進んだ私達。

初めての恋人。二人とも。


私も亮太も まだ恋の意味を 理解していなかった。

好奇心と欲望に翻弄されて。


それでも私達は、幸せだった。
 

私達は毎日 図書館の帰りに 公園の木陰で 抱き合ってキスをした。
 
「ヒロ。ちょっと、こっちに来て。」


亮太の方が 一日早く試験が始まる。

明日から試験という日 亮太は 図書館に入る前に 私の手を引いた。
 
「まだ、外、明るいよ。」

日暮れの早い季節だけど。

薄っすらと日が残る空。

「大丈夫。」

と言う亮太に 手を引かれて 私達は 建物の脇にまわる。


塀と建物の 細い隙間に入ると、亮太は 私を抱き締めた。
 

「ヒロ。」

と言った後で、キスをする亮太。

熱いキスの後 亮太の唇は 私の首筋をすべる。


めくるめく思いに、身をよじりながら
 
「ダメ。リョウ。」

と途切れがちに 私が言うと 亮太は ハッとして唇を離した。
 

「ごめん。」

と言って私を抱き締める亮太。



私は、もう一歩進む日が近いことを感じていた。