翌日から私達は 放課後駅で待ち合せて 市立図書館まで 手を繋いで歩く。

静かな 図書館の雰囲気に呑まれて、思った以上に 勉強は進む。
 


「ねえ リョウ これどういうこと。」

私が小さな声で聞くと 亮太も ヒソヒソと 説明してくれる。
 
「さすが。リョウ 頭いいね。教えるの、上手いし。」

私の声が 少し大きくなると、亮太は 口の前に 指を立てる。
 


「土日は、うちで勉強するか。」

たっぷり2時間 図書館で勉強して 私達は帰る。


駅までの道を 手を繋いで歩きながら 亮太が言う。
 


「リョウの家?私が行って、大丈夫なの?親とか。」


家に行くことが 少し不安で私は聞く。

亮太は笑顔で頷いて
 

「別に大丈夫だよ。俺に干渉しないから。それにうちの親、あんまり家にいないし。」

と言い、少し言い淀んでから
 
「でも、女の子がうちに来るの 初めてだから。何か言うかな。」

と付け足した。
 

「ちょっと、緊張する。リョウの部屋 狼いない?」


私は、亮太の親に会う以上に 亮太の部屋で過ごすことも 不安だった。
 

「お前 馬鹿じゃない。何かされると思ったの、俺に。」

暗い街並でも 亮太の顔が 赤く染まっていることがわかる。


私は、頬を膨らませて頷く。


「まあ ちょっとくらいは 何かするかもな。」

と亮太は 握った手に 力を込めた。