土曜日には、初めて 二人で出かけた。


行先は動物園。

待ち合せの駅で 私服姿の亮太を見て 私は 少し笑う。
 


「なんだよ。」

照れた顔で 私を見て、亮太は言う。
 
「ううん。リョウって、そういう服着るんだ。」

笑いながら私が答えると、
 



「お前、スカート短いよ。」

亮太は、私を 眩しそうに見つめて 言った。
 


「また、そうやって。親みたいな事言う。」

亮太の 照れ隠しなのに。

上手く受け止められずに、私は ついムキになってしまう。


「はいはい。いいですよ。何でも着て下さい。」

亮太も不機嫌な顔で言う。

余裕のない私達は そんな小さな事で いちいち 言い合いになってしまう。
 


「もう。せっかくなんだから。楽しくしようよ。」

私が折れると、
 
「そうだな。でも、先に突っかかってきたのは ヒロだからな。」

と亮太は 口を尖らせた。
 


「だって せっかく 私の美脚、見せようと思ったのに。リョウが 変な風に言うから。」

私が 弱い口調になると
 
「俺だけに見せればいいの。」

と亮太は 照れた顔になった。


私は 急に恥ずかしくなり 下を向く。


言い合いさえも 甘くて。

ときめくことが 恥ずかしくて 素直に なれない私。