みんなと別れて 駅を歩いている私は 誰かに 後頭部を突かれた。


不審気に振向くと、亮太が 笑顔で立っていた。
 

「なんだ。中村君か。」

私が苦笑すると
 
「スゲー、暗い背中だったよ。」

と亮太は笑う。


並んで歩きながら 少し心配そうな亮太の目に


「うん、ちょっとね。友達が 退学になりそうなんだ。」

と私は言ってみる。
 


「お前、何やっているんだよ。」

と亮太は 呆れた顔で言う。
 
「私じゃないって。」

と言い返すと
 

「友達なんだろう。何やったの。そいつ。」

と亮太は 聞いてきた。
 


「クラブで 補導されたみたい。昨夜のことだから。詳しくは、わからないけど。」


私の言葉に 亮太は
 
「お前もクラブとか、行くの?」と聞く。


大きく首を振る私に、亮太は苦笑して
 

「お前さあ、友達選べよ。」と言った。
 
「何よ。親みたい。彼女でもないのに。」


私の心に生まれた、小さな反発。

何も知らない人に、美佐子を 悪く言われたくない。