その日、美佐子は 学校に来ていなかった。
 
「ねえ、美佐子 来ている?」

昼休み 1組の恵美に 廊下に呼び出された私。
 
「ううん。今日は休みかも。携帯繋がらないし。メールも返信、来ないよ。」

私は、恵美に答えた。



美佐子は 夜遅くまで遊んでいて 寝坊することがあった。

そういう時は 電話もメールも 繋がらない。
 

「それが、ちょっとマズいの。美佐子がよくいくクラブが 摘発されたらしいの。多分、美佐子、補導されたと思う。」

恵美は、美佐子と 同じ中学校の出身だった。
 

「嘘。ヤバいね。」

私は、うまく返事ができなかった。
 

「さっき職員室行ったら、木本と信太郎が コソコソ話していたし。美由紀先輩のグループの人もいたみたい。」


木本というのは、私達の担任。

信太郎は 生活指導担当だから。
 

「マジで。美佐子、退学になっちゃうのかな。」

私は 胸を 何かで打たれたような 衝撃を受けていた。
 

「まだわかんないけど。浩子、美佐子と仲良かったから。後で 先生から話し聞かれるかも。」

恵美はそう言って、教室に戻った。