中学生の頃の亮太は ひょうきんで 冗談ばかり言っていた。

明るくて 人気者だった亮太を、私は 少し好きだった。


たった半年で 大人っぽくなった亮太に 私はドキッとして 曖昧な笑顔を向ける。
 


「ねえ 中村君 何で こんな所にいるの。」

亮太は 第一志望の県立高校に落ちて 隣の市の私立高校に入学した。


亮太の学校からだと 途中下車になるはずだから。
 

「友達の家に寄ったの。お前こそ 何でこんなに遅いの。」

亮太に聞き返されて
 
「いつも、このくらいの時間だよ。友達と おしゃべりしているから。」

私が答えると、
 

「不良じゃん。真っ直ぐ帰れよ。」

と、亮太は昔と同じ 冗談っぽい口調で言う。
 
「お互い様だよ。」

私は、亮太の口調に安心して 答える。


笑顔で亮太を見ると 見つめ返す亮太の視線から 私は やっぱり熱いものを感じた。