信太郎の件で 美佐子は多分 傷ついている。


幸也の話しを する時の美佐子は、幸せそうだった。

知らない世界の話し。

でも、幸せそうな美佐子を見ることで、私は ホッとしていた。
 

「真理って、本当に 根性あるんだよ。見た目は 全然、普通なんだけど。」

真理は 幸也の彼女らしい。


美佐子は 真理に 一目置いているから 幸也を誘惑しないと言った。
 


「夏に、警官に追われた時も、股間を蹴り上げて 逃げ切ったんだよ。」

真理の武勇伝を 得意気に話す美佐子。

根性があるって、そういうことなのか。
 


「何で、警官に追われたの。」

私が聞くと、
 

「職質っていうやつ。駅前で 煙草吸っていたら、君たち何才?みたいな。」

美佐子の答えに、私は頷く。
 

「美佐子も、職質されたことあるの。」
 
「ないよ。私、高校生に見えないから。」

と美佐子は 得意気に言った。


私は、美佐子といる時 煙草吸うけれど。

家では ほとんど吸わない。

親に見つかることが 怖かったから。



美佐子に そう話すと
 
「私なんて 親の前でも吸うよ。」と言う。
 
「えーっ。マジで?」と驚く私。


美佐子の親は 何故 怒らないのだろう。
 

もっとも、怒られても 美佐子が 言うことをきくとは 思えないけれど。