季節は、すっかり秋になっていた。

高校生活も 半年過ぎた。



教室では、クラス委員が 体育祭の準備をしている。
 

「女子校で、しかも 平日に体育祭やって。意味ないよね。」

ダンボールを切って、何かを作っている委員長を横目に、美佐子が言う。
 
「本当。みんな、当日、来るのかな。」

美佐子と歩きながら、私が言う。
 
「来ないと 欠席になるでしょう。」

と、美佐子も つまらなそうに言う。



昇降口に向かう廊下を 段ボールを持った信太郎が 歩いて来た。


ハッとして 美佐子を見る。

美佐子は、まるで 信太郎が目に入らない顔で、私と話し続ける。


すれ違い様、物言いたげに 美佐子を見る信太郎。
 

「ねえ、今、信太郎、何か言いたそうに、美佐子を見たよ。」

私は小声で美佐子に言う。
 

「へっ。クズが。口止めでもしたいんじゃない。」

と美佐子は、口汚く 信太郎を罵った。