私達は ファミレスで 向かい合う。

食事をして、亮太の家に 行く予定だった。
 

「じゃ、話して。ヒロが気になっているなら、俺も知りたいから。」

亮太に言われて 私は 美佐子のことを話した。
 


「ヒロ。怒らないで聞けよ。お前 本当に もう美佐子と 付き合うなよ。」


私の話しが終わると、亮太は静かに言った。

私は少し俯いて、頷く。


「私も、もう美佐子には 付いて行けないって思ったから。多分 2年になると クラスも別れるし。」

私の言葉に 亮太は 何故か悲しそうな顔をした。
 


「ヒロが 自分で気付くまで 待てなくて。俺 今まで 色々言って、ごめんな。」

亮太の言葉は、あまりにも 予想外で。

私は 驚いて首を振る。
 


「ううん。リョウの言う通りだった。美佐子 悪い子じゃないけど。私も 無理だってわかった。」

私は変わった。

多分 2学期の私だったら 美佐子の力になりたいと思った。
 

でも 亮太と付き合って 亮太が 私を大切にしてくれるから。

自由奔放な美佐子を 羨ましいと思わない。


亮太と抱き合うと 心が安定して 素直になれるから。
 

「ヒロ 俺のこと 親みたいで 煩いって言っただろう。俺も 親のこと 煩いって思うのに。あの時は ヒロの気持ち わかんなかった。」

亮太は ランチのハンバーグを 食べながら話す。
 
「でもさ 自分で気付けば 言われなくてもやるよな。俺だって今、ヒロが大事だって思うから 勉強する気になっているし。同じなのにな。」


亮太は、大人になっている。

私は 大きなショックに包まれる。
 


「リョウ。心配かけてごめんね。私 背伸びしたかったの。何に 焦っていたのかな。美佐子、私の知らない事 いっぱい知っていて。羨ましかった。自由で。人の目とか、気にしなくて。カッコいいって思っていた。」

私の言葉を、亮太は 真剣に聞いてくれる。
 
「でも 私 美佐子みたいに 投げやりになれない。将来 大事だし。ちゃんとした大人になりたいし。」

私は そこまで言って フッとため息をついた。
 

「大事にしてくれよ。ヒロ。」

亮太は 優しい笑顔で私を見る。
 
「私 大人って 本音と建て前があって。汚いって思っていたけど。私も同じ。美佐子のこと、心配だけど。これ以上は付き合えないって思うし。自分の方が 大事だから。」

私の言葉に、亮太は頷いた。
 

「ヒロは純粋で 真っ直ぐだから。頭の回転も速いし。深く考え過ぎるんだ。でもさ 自分が大事でいいんだよ。」

亮太の言葉は、私の胸に沁みる。
 


「リョウ カッコいいね。なんか 今日 リョウのこと 見直したよ。」

私は 少し照れながら 亮太を見て言う。
 
「お前なあ。今頃、気付いたの。」

と笑う亮太。



私の体を 激しい思いが駆け上がる。

今すぐ、亮太に抱かれたいと思う。


テーブルの下で、亮太に足を絡める。


「ヒロ、挑発したな。」

亮太は熱い目で、私を見る。
 
「リョウ、早く帰ろう。」


私達は、食後のドリンクも ほどほどに 店を出た。