明日から 期末テストと言う日、

「私、妊娠したかも。生理が来ないんだ。」

と美佐子は言った。
 
「えーっ。」

と言って、私達は絶句する。
 


「調べてみた?妊娠検査薬。」

輝美の 冷静な言葉に みんなが頷く。

美佐子は首を振り
 
「今日、買って、やってみる。」と言った。
 


「遠藤さん、避妊しないの?」

私が美佐子に聞くと
 
「遠藤さん アレ 嫌いなんだよ。いつも外に出すから。大丈夫って言って。」

美佐子はさすがに、いつもより元気がない。
 
「ダメだよ。それが 一番 危ないらしいよ。」

私は 少し呆れてしまう。


遠藤さんは大人なのに。

美佐子のことを考えてない。

亮太は必ず、避妊する。

好きとか嫌いの 問題じゃないから。
 



「もし出来ていたら、美佐子どうするの。」

典子の言葉に

「堕すよ。決まっているじゃん。」

と美佐子は 苦笑して言う。
 
「でも。堕すのも 危険なんだよ。失敗して 子供できなくなる人も いるんだよ。」

典子は 真剣な目で言う。
 

「でも、産める訳 ないじゃん。学校だって やっと続けられたのに。それに遠藤さんには 家庭があるんだよ。」


美佐子は顔をしかめて言った。


「とにかく、調べてからだよ。もし妊娠していたら 早めに病院 行かないと。」

私が言うと、みんな頷いた。
 


「病院には 遠藤さん 一緒に行ってくれるんでしょう。」

千恵が 美佐子に聞く。
 
「当たり前でしょう。遠藤さんが行かなくて 誰と行くのよ。」

美佐子より先に あゆみが強く答える。
 


みんな、こうなることを心配していた。

どうして美佐子は ちゃんと避妊してと、言えなかったのだろう。



中絶なんて、傷付くのは女性だけ。

自分の体なのに。どうして守らないのだろう。
 


明日から 試験だというのに。

私は集中力が欠けてしまった。


きっと仲間達も。

みんな、心配している。


なにが美佐子を そこまで自棄にさせるのか。



誰にもわからない。