音羽高校は、あたしの家からは歩いて15分くらいのところにある。


4人で歩いてるんだけど、天知兄弟は2人で喋りながら先頭を行ってる。


あたしと華蓮は、2人から少し離れたところ。


今日初めて会ったとこだから、何を話せばいいのか、わからない…。


沈黙の中、先に口を開いたのは、華蓮だった。



「ねー、お嬢」


「!なっ、何?」



びっくりして、噛んじゃった。



「キンチョーしてるみたいだけど、心配することないと思うよ。俺だって、高校生とか久しぶりだし」


「そ、そうなんだけど、そうじゃなくて、えっと」



華蓮は、苦笑してきょとんと首をかしげる。


あたしは、学校には特に緊張はしていなくて。


ニコッと笑ってあたしに向けられた顔を見て、あたしは思わず顔を背けてしまった。


ちょっとの風でふわって浮くぐらい、細くて、黒い髪。


前髪の隙間から覗く、大きくてまっすぐな瞳。


耳元に光る、沢山のピアス。


スラッとのびる細い手足。


ピアス沢山開いてるのは意外だけど、


誰がどう見ても、この人は、見惚れるぐらいの美しい青年なのだ。