高校の入学式前日。


あたしは、お父さんの部屋に呼び出された。



「千隼」


「どうしたのお父さん」



お父さんはいつも優しくて、ふんわりした雰囲気の人。



「千隼も、もう高校生か。早いもんだな」


「……うん」


「母さんも、喜んでるよ」



ああ……まただ。


あたしのお父さんは、何かと語り出すといつも長くなるんだ。



「…お父さん、用事ってなに?」


「ああ、すまない。千隼の高校入学前に、ひとつ話しておきたいことがあってな」



話ってなんだろう。