十四の頃。
教育係だとか称して、女房が一人、参った。

藤一条とか、いった。

美しかった。
扇で顔は隠していたけれど、それで隠せない気品があった。

紫のよく、似合う人だった。

「姫君」

彼女はそう、桜を呼ぶ。

茶色の髪。豊かなのに、色が、勿体無い。
紅い瞳。此方を見られるだけで、怖かった。