夢に、現実が勝ることはない。
そう、思う。

もし、もっと美しかったら。
もし、もっと教養があったら。
(手習いを、好きになれたなら)

手蹟(筆跡)だけ良くたって、人に褒められることはない。

本当に、「身分に相応しい」姫君だったなら、将来に希望を持つことが出来たのだろうか。

いいえ、もう、考えるのは、よそう。

自分は、入内して、妃には、なりたくない。
それだけで、十分だ。

それだけで。