「なんで、こんな身分に、生まれてしまったのだろう」

父君が、他の女のところに、娘―姉でも妹でもいいから―が、いないだろうか。
もっと、姫君らしい。



「身を憂しと 思ふに消えぬ ものなれば
 かくてもへぬる 世にこそありけれ」

我が身を憂いたって、消えてなくなれるわけではない。
だから、このまま、過ごしてゆく世の中なのだ……