女御……妃として入内し、国母ともなれば、政に参加出来るとか、そんなことを考えているのかもしれない。

でも、そんなことは、無理。
大君には、分かっている。

自分に、妃として、他の姫君と寵を争うことなんて、出来ない、と。

母は、いつも、「貴女は女御になるの」と言い続ける。

でも、その母の身分は、所詮受領(国司)の家でしかないから、妃なんて、雲の上。

だから、上流に生まれてしまった自分のことなんて、分かってくれない。