(あぁ、私も、女房に……受領にでも生まれれば……)

そんなことを考えていた。

今宵の為に用意させた新しい衣裳も、似合わない気がする。

はぁ、とため息をつきながら、遠くを眺めていた。

いくばくかして、空気が変わった。
それを、大君は察知する。

きっと、噂になるような公達でもいらっしゃったのだろう。

こんな大きな宴。
兄や異母弟の友人達も、多数参加していると聞く。

「そんな端に行ったら…」

そう言おうとして、やめた。
何だかんだで、興味はあった。