「私にね、妹がいるんですよ」

「ほぅ、それは、どんな方なのですか?」


右大将家では、また、宴が開かれている。
大君はつまらなそうに、御簾の奥にいた。

女房達は、恋人になりゆる方を探そうとして、キャアキャアと、騒がしい。

藤一条はそれを、少し離れたところから、呆れ顔で見ていた。

大君も呆れると同時に、少し羨ましくも思った。

『身分の高い姫君』では、何をするにも、制約がつく。それに比べ、彼女等には、少ない。