―藤一条。
この人が姉だったらよかった。

それなら、桜が入内しなくても済む。
何故なら、橘右大将家から、一人入内させれば、それで十分だからだ。

―夢に、現実は、勝らない。

事実だと、思う。

このまま情けなく歳を重ね、情けない妃になって、笑い者になるのだろう。

どんなことにも、世の辛さがついて回る。
闇の中にいる様で、心が、重い。