倒れて原型すらとどめていない顔をただひたすらに笑いながら殴り続けるその男。 返り血に塗(まみ)れた男の顔はニヒルに笑っていて、だけど雨に濡れているその顔は、泣いてるみたいに悲しい顔だった。 「…すごい、きれい」 その光景に魅入ってしまうなんて、あたしもその時は正気じゃなかったのかもしれない。 あの男以上に。 暫く楽しそうに殴っていた男は、途中から飽きたのか、興味無さそうに足で男を蹴りあげてあたしの方に向かってきた。