「碧萌、次俺たちの番」

「あっ、うん」


去年は見るだけでやらなかった金魚すくいをやることになった。

夏帆ちゃんは器用だし、海くんは手慣れているからちゃんと2人とも金魚をゲットしている。

私は昔からこういう類いは苦手だった。

ポイを水面すれすれに入れて金魚の尾の方から狙うと良いらしいんだけど、いつの間にか忘れて無我夢中で水槽に手を突っ込んで追いかけている。

そして1匹も捕れないからいつも海くんとたっくんから1匹ずつもらっていたんだ。

両手に金魚を持って歩いているけれどいつもいつの間にか1匹はどこかに放置してしまってる。

もし私が落としていたなら、金魚は水が無くてぴょんぴょん驚いてその内エラ呼吸が止まり、昇天してしまうのかと思うと可哀想でやらない方がいいと思った。

そう感じていたから去年はやらずにやり過ごしたのだけれど、夏帆ちゃんに誘われてしまったものだから断れず、渋々100円払った。