私はどうやら微熱があるらしい。

確かに若干ふらついて危険ではある。


「じゃあわたしはここで...。後は拓海くん、よろしくお願いします」

「はい」

「碧萌ちゃん、お大事にね」

「うん。ありがとう」


夏帆ちゃんと坂を下った分かれ道で分かれ、左に折れて2人で並んで歩く。

久しぶりにたっくんと帰るなぁ。

一体いつぶりだろう。

黒く伸びる2つの影。

昔は先を行く砂原ツインズの影を踏みながら帰っていた。

たまに海くんが振り返ってくれると嬉しくて、のろまな私は遅れないよう必死に足を前に出し続けていた。

って、また思い出して感傷的になっちやったな。

止めようって何回も思ってるのに。

私が爪先を見つめながらゆっくり歩いていると、たっくんが口を開いた。


「碧萌さ、今いつぶりにたっくんと帰るんだろうって思ってたでしょ?」

「えっ...なんでわかるの?」

「さすがに15年も一緒にいると考えてることくらい表情で分かるようになる」


そうなんだ...。

それなら私も分かってるのかな?

たっくんが今考えてることって何だろう?

う~ん...。

たっくんを見つめて考えても出てこない。

熱があるというのに頭を使ったらさらに熱が上がりそうだ。

今回はこの辺でやめておこう。

諦めた私にたっくんは続ける。


「碧萌はさ、俺のことどう思ってる?」


なぜ急に?

しかもなぜこのタイミングでそんなことを?

えっと、その...そういうこと?


「こんな時にこんなこと言うのはおかしいと思うんだけど、ごめん、言う。言わないと後悔するから」