それから1ヶ月半の月日が流れた。


粉雪がうっとうしく舞う中、たくさんの報道陣を連れて彼はやって来た。



「キャーッ!CRESCENTの陽翔だ!」


「本当に通ってたんだね!」


「アイツ、2組の片桐詩央らしいよ」


「絶対芸名の方が良いじゃん」



もぉ!


ごちゃごちゃうるさ~い!


私は野次馬をかき分け、台風の目に近づいていった。



「どけてくださいっ!」


「なんだ、この子?」


「もしかしてカノジョさんですか?」


「カノジョだったら良かったですよ!」


「はい?」



報道陣が立ち止まった。


詩央くん、行って。


ここは私が足止めしておくから。


詩央くんは、早く...


早くあれを出しに...。